鹿の革と漆の光沢をモチーフに、色を重ねた漆箔を細く裁断し織り込み、笹和紙、だるま糸(太く光沢のある絹糸)を柄に織り成した作品。
【漆】
漆には古来、薬効もあるとされ、漢方では内臓の機能を補ったり、切り傷に効くと言われています。さらに保存性もあり、最も古いものでは約六千年以前の漆塗りの櫛が石川県から出土しています。
【鹿】
奈良の春日大社の伝説によれば、神様が白鹿に乗って奈良に降り立ったことから、鹿は神の使いとして神聖化されてきました。また文様の世界では、古くから延命長寿の象徴として用いられています。
白樺が「命の源」である「水」を生み出す神秘的なモノとして、有職文様とともに創作しました。
白樺の幹から取る樹液は「白樺の水」と呼ばれ、水場がない場所での貴重な水として利用されてきました。
また白樺の水は「保湿効果」もあり、化粧水など「美」を保つものの源としても扱われています。
北欧では『母なる樹』・『森の看護婦』と呼ばれ愛されている樹木でもあります。
【引箔】
薄く引き伸ばした金箔を和紙貼り、約3㎝間に約100本の細さに裁断し、織り込んでいます。